J-POP [ピンク色の研究]
「J-POP」
いつの頃から日本の音楽をそう呼ぶようになったんだろう。
前回・前前回に続いて「アレンジ」のよもやま話をしよう。
ある程度音楽を続けていると「編曲」ができるようになる。
というか「アレンジ」という作業が楽しくなる。
「作詞」「作曲」という選ばれし能力を持たない凡人でも
練習・研鑽を積めばアレンジはできる。
特に「バンド」という単位の中に身を置けば
自然とこの能力が身に付いてくる。
それはオリジナル曲でもコピー曲でも同じ。
「自分達の能力にみあった演奏」に直して演奏するからだ。
そしてそれは「スタジオ・ミュージシャン」と呼ばれる
「スペシャリスト」へのリスペクトに繋がってゆく。
自分で演奏することが不可能な高度な演奏を
カタチに出来る人々がいることへの気付きになる。
どんな駄作を持ってこられも、ある程度はカタチにできる。
その喜びを知った時、アレンジャーの偉大さに気付く。
その無限のループといっていい作業に喜びを感じられる。
そしてまた・・・
音楽の楽しさに気付き、音楽の喜びを知る。
そしてある日、発見することになる。
自分には出来ないアレンジを考え付くことのできる
偉大な人々がいることに。
それはまさに「作詞」「作曲」と同じレベルで
とてもクリエイティブな作業だということに。
なんといっても、この人・・・
瀬尾一三(せお いちぞう)敬称略
もう「先生」って呼びたいぐらい(笑)
壮大なストリングスに魅惑のカウンター・ライン
そして・・・
単純なコードラインにトゲを刺すアンサンブル
瀬尾作品は膨大な数存在する。
まず「昭和のアイドル」でお世話になっていない人など
一人もいないんじゃないか?というぐらいある。
聖子・明菜を筆頭に必ずといってもいいくらい
瀬尾作品が紛れ込んでいる。
B級・C級アイドルまで含んだらほんとに膨大な数。
次になんといっても「フォーク世代の大物」達。
吉田拓郎・長渕剛・甲斐よしひろ。
どっぷり瀬尾作品にハマっている。
かぐや姫・風・ふきのとう・バンバンも。
ニューミュージック世代もどっぷりお世話になっている。
杏里・チャゲアス・原田真二・八神純子・ハイファイセット。
しかもみんな名だたる「代表ヒット曲」が含まれている。
Wikiを見るだけで相当な数あるのだが
実際にはその倍以上ある。
最初に意識したのはいつ頃だろう・・・
「猫」の「各駅停車」か「バンバン」の「いちご白書」か。
70年代初頭なのはたしかなのだが。
とにかく変なアンサンブル(失礼!)が耳に引っかかる。
アイドル物は割と無難なアレンジなのだが
俺の琴線に引っかかるのは・・・変なアンサンブル(笑)
それと仰々しいストリングスとカウンター・ライン。
「カウンター・ライン」とうのはメインのメロディに対し
間を埋めるストリングスが「もう一つのメロディ」を
奏でることで「裏メロ」という言い方をする場合もある。
俺はこの「カウンター・ライン」というのがどうにも好きらしく
普通にメロディを聴かせられると自然に湧き出てくる。
というか「無いのに自然に聴こえてくる」。
けして「幻聴」ではありません(笑)
判りやすい例だと・・・
尾崎君の「傷つけた人々へ」(編曲:西本明)
「カウンター・ライン」の応酬のような曲。
ストリングスもコーラスも「このメロしかありません」
っていうぐらい同じラインを繰り返します。
この曲の主旋律に対して、自然にこのカウンター。
そしてサビには町支君のアルペジオ+ストリングス。
これ以外に取りようの無い音の並び。
「ボクをに~~~らむ~~~」にピッタリとはまる
アルペジオ+ストリングスの音の数。
そして間奏の鳥山君のツインリード。
このメロディが聴こえてしまいます
っていう強制的というか、それほど自然なメロ。
これ以外は似合わないというか、考えられない。
なのでエンディングのソロも、ほぼこのまま弾くことに。
俺の大好きな人々が完璧にアンサンブルしています。
のようにですね(笑)
緻密に組み立てられているのが瀬尾作品。
特にシンセとストリングスの組み合わせがバツグン。
同じラインなのにシンセと生を使い分けます。
それが圧倒的な完成をみたのが「徳永英明」作品。
「最後の言い訳」と「壊れかけのRadio」かな。
この2曲で
壮大なストリングスに魅惑のカウンター・ライン
単純なコードラインにトゲを刺すアンサンブル
これが揃います。
各楽器の出入り。音の並べ方。組み合わせ。
すべての「瀬尾アンサンブル」がお目見え。
変なところで入ってくるドラム。
低音が要らなければ消しちゃうベース。
けしてパワーコードを弾かせず単音処理。
勝手に動くストリングスと裏メロ。
そしてこれを使う時には・・・・
歌い手に圧倒的な歌唱力を求める!!
なんて酷な事でしょう(笑)
「瀬尾アンサンブル」に潰されない歌唱力がある人にだけ使う、
まさに「伝家の宝刀」です。
まずはこの2曲をたっぷり聴いて下さい。
これを十二分に体に吸収できた人は
「アレ」を聴いた瞬間に・・・
あっ、瀬尾さんだ!!!
(笑)
しかもそれに「TV」で遭遇するとは(爆)
それが中島みゆきさんの・・・
地上の星 ヘッドライト・テールライト
ですね。
「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」さえ聴いていれば
まさに「瀬尾アンサンブル」の炸裂です。
みゆきさんの作品はまさに「瀬尾作品」のカタログ。
どんなヤンチャなアンサンブルでも、どんなに理不尽な音
でも、それを跳ね返す圧倒的なパワーの持ち主「中島みゆき」。
「地上の星」「 ヘッドライト・テールライト」
この2曲のイントロにはメロディがありません。
コード・トーンのみ(笑)
「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」のさらに先。
地上の星
「おいおい、ベースはどこにいるの???」(笑)
ストリングスとピアノの左手ですでに音は飽和状態。
ベースは後半に補強でしか入らず、けしてストリングスと
ピアノの左手以外の音は出しません。
それでもこれでもかっ!!って言うぐらい音数は増えてきます。
絶妙な今剛クンのカッティングが絡んできたと思ったら
今クンじゃない人のギター・ソロ???
う~~~ん、古川さんでしょうか???
まさに魂一発。渾身のギター・ソロですね。
それに絡みつくように、なんと2回の転調。
ヘッドライト・テールライト
「おいおい、ベースはどこにいるの???」(笑)
ライブはダイジョウブかいな???(爆)
コーラスのコールアンドレスポンスとストリングスの裏メロ。
ぶ厚い音の洪水の中なのに、圧倒的歌唱力を要求。
ヘタすると、素のままの歌になっちゃう。
楽しんでいただけましたでしょうか?(笑)
「瀬尾作品」の基本的な楽しみかたです。
それともう一つ。「瀬尾作品」の重要なパーツ。
ギターは今剛!!!
あきらかに要求してますね。
これは全作品に共通して聴き取れます。
「地上の星」のような曲をクリーン・トーンで弾けと(笑)
この今クンの絶妙なバランス感覚を要求してくるのは
瀬尾さんとヒカルちゃんぐらいじゃないかな。
他にもいっぱい好きな作品があるんだケド。
伊勢正三 - ほんの短い夏
井上陽水 - 海へ来なさい
谷村新司 - Far away
ハイ・ファイ・セット - 雨のステイション
みんな上記アレンジの流れにあります。
そのほかにもポップな作品も。
杏里 - オリビアを聴きながら
藤谷美紀 - 応援してるからね(笑)
そして今日は、これでお別れです
久松史奈 - 天使の休息
作詞:久松史奈・藤生ゆかり
作曲:藤生ゆかり
編曲:瀬尾一三
久松史奈 - 天使の休息2020
Piano & Keyboards:小林信吾
Produced by 瀬尾一三
いつの頃から日本の音楽をそう呼ぶようになったんだろう。
前回・前前回に続いて「アレンジ」のよもやま話をしよう。
ある程度音楽を続けていると「編曲」ができるようになる。
というか「アレンジ」という作業が楽しくなる。
「作詞」「作曲」という選ばれし能力を持たない凡人でも
練習・研鑽を積めばアレンジはできる。
特に「バンド」という単位の中に身を置けば
自然とこの能力が身に付いてくる。
それはオリジナル曲でもコピー曲でも同じ。
「自分達の能力にみあった演奏」に直して演奏するからだ。
そしてそれは「スタジオ・ミュージシャン」と呼ばれる
「スペシャリスト」へのリスペクトに繋がってゆく。
自分で演奏することが不可能な高度な演奏を
カタチに出来る人々がいることへの気付きになる。
どんな駄作を持ってこられも、ある程度はカタチにできる。
その喜びを知った時、アレンジャーの偉大さに気付く。
その無限のループといっていい作業に喜びを感じられる。
そしてまた・・・
音楽の楽しさに気付き、音楽の喜びを知る。
そしてある日、発見することになる。
自分には出来ないアレンジを考え付くことのできる
偉大な人々がいることに。
それはまさに「作詞」「作曲」と同じレベルで
とてもクリエイティブな作業だということに。
なんといっても、この人・・・
瀬尾一三(せお いちぞう)敬称略
もう「先生」って呼びたいぐらい(笑)
壮大なストリングスに魅惑のカウンター・ライン
そして・・・
単純なコードラインにトゲを刺すアンサンブル
瀬尾作品は膨大な数存在する。
まず「昭和のアイドル」でお世話になっていない人など
一人もいないんじゃないか?というぐらいある。
聖子・明菜を筆頭に必ずといってもいいくらい
瀬尾作品が紛れ込んでいる。
B級・C級アイドルまで含んだらほんとに膨大な数。
次になんといっても「フォーク世代の大物」達。
吉田拓郎・長渕剛・甲斐よしひろ。
どっぷり瀬尾作品にハマっている。
かぐや姫・風・ふきのとう・バンバンも。
ニューミュージック世代もどっぷりお世話になっている。
杏里・チャゲアス・原田真二・八神純子・ハイファイセット。
しかもみんな名だたる「代表ヒット曲」が含まれている。
Wikiを見るだけで相当な数あるのだが
実際にはその倍以上ある。
最初に意識したのはいつ頃だろう・・・
「猫」の「各駅停車」か「バンバン」の「いちご白書」か。
70年代初頭なのはたしかなのだが。
とにかく変なアンサンブル(失礼!)が耳に引っかかる。
アイドル物は割と無難なアレンジなのだが
俺の琴線に引っかかるのは・・・変なアンサンブル(笑)
それと仰々しいストリングスとカウンター・ライン。
「カウンター・ライン」とうのはメインのメロディに対し
間を埋めるストリングスが「もう一つのメロディ」を
奏でることで「裏メロ」という言い方をする場合もある。
俺はこの「カウンター・ライン」というのがどうにも好きらしく
普通にメロディを聴かせられると自然に湧き出てくる。
というか「無いのに自然に聴こえてくる」。
けして「幻聴」ではありません(笑)
判りやすい例だと・・・
尾崎君の「傷つけた人々へ」(編曲:西本明)
「カウンター・ライン」の応酬のような曲。
ストリングスもコーラスも「このメロしかありません」
っていうぐらい同じラインを繰り返します。
この曲の主旋律に対して、自然にこのカウンター。
そしてサビには町支君のアルペジオ+ストリングス。
これ以外に取りようの無い音の並び。
「ボクをに~~~らむ~~~」にピッタリとはまる
アルペジオ+ストリングスの音の数。
そして間奏の鳥山君のツインリード。
このメロディが聴こえてしまいます
っていう強制的というか、それほど自然なメロ。
これ以外は似合わないというか、考えられない。
なのでエンディングのソロも、ほぼこのまま弾くことに。
俺の大好きな人々が完璧にアンサンブルしています。
のようにですね(笑)
緻密に組み立てられているのが瀬尾作品。
特にシンセとストリングスの組み合わせがバツグン。
同じラインなのにシンセと生を使い分けます。
それが圧倒的な完成をみたのが「徳永英明」作品。
「最後の言い訳」と「壊れかけのRadio」かな。
この2曲で
壮大なストリングスに魅惑のカウンター・ライン
単純なコードラインにトゲを刺すアンサンブル
これが揃います。
各楽器の出入り。音の並べ方。組み合わせ。
すべての「瀬尾アンサンブル」がお目見え。
変なところで入ってくるドラム。
低音が要らなければ消しちゃうベース。
けしてパワーコードを弾かせず単音処理。
勝手に動くストリングスと裏メロ。
そしてこれを使う時には・・・・
歌い手に圧倒的な歌唱力を求める!!
なんて酷な事でしょう(笑)
「瀬尾アンサンブル」に潰されない歌唱力がある人にだけ使う、
まさに「伝家の宝刀」です。
まずはこの2曲をたっぷり聴いて下さい。
これを十二分に体に吸収できた人は
「アレ」を聴いた瞬間に・・・
あっ、瀬尾さんだ!!!
(笑)
しかもそれに「TV」で遭遇するとは(爆)
それが中島みゆきさんの・・・
地上の星 ヘッドライト・テールライト
ですね。
「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」さえ聴いていれば
まさに「瀬尾アンサンブル」の炸裂です。
みゆきさんの作品はまさに「瀬尾作品」のカタログ。
どんなヤンチャなアンサンブルでも、どんなに理不尽な音
でも、それを跳ね返す圧倒的なパワーの持ち主「中島みゆき」。
「地上の星」「 ヘッドライト・テールライト」
この2曲のイントロにはメロディがありません。
コード・トーンのみ(笑)
「最後の言い訳」「壊れかけのRadio」のさらに先。
地上の星
「おいおい、ベースはどこにいるの???」(笑)
ストリングスとピアノの左手ですでに音は飽和状態。
ベースは後半に補強でしか入らず、けしてストリングスと
ピアノの左手以外の音は出しません。
それでもこれでもかっ!!って言うぐらい音数は増えてきます。
絶妙な今剛クンのカッティングが絡んできたと思ったら
今クンじゃない人のギター・ソロ???
う~~~ん、古川さんでしょうか???
まさに魂一発。渾身のギター・ソロですね。
それに絡みつくように、なんと2回の転調。
ヘッドライト・テールライト
「おいおい、ベースはどこにいるの???」(笑)
ライブはダイジョウブかいな???(爆)
コーラスのコールアンドレスポンスとストリングスの裏メロ。
ぶ厚い音の洪水の中なのに、圧倒的歌唱力を要求。
ヘタすると、素のままの歌になっちゃう。
楽しんでいただけましたでしょうか?(笑)
「瀬尾作品」の基本的な楽しみかたです。
それともう一つ。「瀬尾作品」の重要なパーツ。
ギターは今剛!!!
あきらかに要求してますね。
これは全作品に共通して聴き取れます。
「地上の星」のような曲をクリーン・トーンで弾けと(笑)
この今クンの絶妙なバランス感覚を要求してくるのは
瀬尾さんとヒカルちゃんぐらいじゃないかな。
他にもいっぱい好きな作品があるんだケド。
伊勢正三 - ほんの短い夏
井上陽水 - 海へ来なさい
谷村新司 - Far away
ハイ・ファイ・セット - 雨のステイション
みんな上記アレンジの流れにあります。
そのほかにもポップな作品も。
杏里 - オリビアを聴きながら
藤谷美紀 - 応援してるからね(笑)
そして今日は、これでお別れです
久松史奈 - 天使の休息
作詞:久松史奈・藤生ゆかり
作曲:藤生ゆかり
編曲:瀬尾一三
久松史奈 - 天使の休息2020
Piano & Keyboards:小林信吾
Produced by 瀬尾一三