昭和の忘れ物 Part 2
あの「缶キリ捜しの旅」に出た日(笑)、様々な人に出会った。最近はあまり出会うことのない、「夜行性」の人々である。世の中では「カットのような人」と呼ぶらしい(爆)。じゃれあうカップル、仕事帰りのOL、こきたないおばちゃん(笑)。そして・・・
私は桃缶2個と缶キリを持って、レジに並んだ。レジ打ちは、ちょっと若めのおばちゃん。私の前には、大学生らしい2人の男性がいた。そこで私は、奇妙なものを目撃することになる。
2人とも、絶対に学生である。見た目がもう学生なのだ。2人とも、スーパーのプラスティックの買い物籠に、そこそこの量の買い物をしている。ふと私が気が付いたのは、その籠の底に何か「布製の物体」が敷かれているのだ。2人共である。もう私の目は、それに釘付け(笑)。
「それは、いったい何?」
あやうく口にだしそうになった。私は「その瞬間」が来るのを、じっと見つめて待っていた。1人目のレジが終わった時、それがなんなのか、やっと判明した。なんと、「マイバック」なのである。「マイバック」を籠の底に敷いているのだ。私は瞬時にそのシステムを理解した。なんらかの形で「マイバック」を持っていると、「万引き」を疑われる可能性がある。どんな状態にしていても、疑がおうと思えば、疑える。時まさに人影まばらな、真夜中のスーパーマーケットである。そういったことも多々あるのだろう。その点この方式なら、「マイバック」を確認してもらえるし、万が一にも万引きを疑われることは無いわけだ。2人ともこのスタイルだということは、これがここの「定番」なのだろう。2人のレジが終了し、マイバックにモノを詰め込むまで、私はシゲシゲと見てしまった。まあ、2人とも比較的普通のカンジ、そんな不良には見えない(笑)。大学生らしい大学生だ。夜中の店には、「そこの掟」があり、それを守っているのだろう。とっても「エコ」である。すばらしい!。すばらしいが・・・気持ち悪い(笑)。いい年こいた男のコが、夜の12時にマイバック持参である。50過ぎの浮浪者のようなこ汚いオヤジは、桃缶と缶キリ(爆)。マイバックなぞ、どこふく風である。袋代金に5円か10円かかるぐらいなら、このまま持って買えるつもりである。なんせ桃缶と缶キリで298円なのだ。300円でおつりがくるのである。ここで5円とられたら、またよけいな小銭が増える。人は私を「小銭大魔王」と呼ぶ(笑)。いつでも不必要な小銭で、ポケットがジャラジャラなのだ。普通小銭を数えると、たいがい1000円を超えている。コンビニで、小銭を細かく払うのが好きではないのだ。東京に遊びに行ってる時などは、いつのまにか2~3千円の小銭でポケットが膨らんでいる。「スイカ」を持たない田舎モンには、小銭が生命線なのである。そのせいで「小銭大魔王」なのである。ついでに「ETC」も無い。一番頻度の高い実家まで帰る時の高速代金は「900円」なのだ。ETC割引など、なんの役にも立たない。
「袋に入れますか?」
「けっこうです。いりません。」
私は自分のポケットに300円入っているのを確認している。298円なら2円のおつりで済むが、ここで袋代を5円とられたら、千円札を出さねばならない。小銭大魔王は、不要な時の小銭を嫌う(笑)。今もらっても、使い道がないのだ。従って、なんとしても袋を阻止しなければならない。しかし・・・
おばちゃんの顔は、困惑している。何か迷っているようだ。そう、そうなのである。私はレジでお金をちゃんと払った。おばちゃんはそれを知っている。しかし、時まさに人影まばらな、真夜中のスーパーマーケットである(シツコイ!笑)。店内には、おばちゃんしか見当たらないのだ。これは、絶対おかしい。おかしいとすれば、どこかで監視カメラを見ているはずである。もしもの時には、屈強な警備員が出てくるのだろう。私の姿かたちは・・・汚い(笑)。一歩間違えれば、浮浪者である。確かにお金を払って精算してはいるが、なにも知らずに監視カメラを見ていたら、どう考えても「万引きした浮浪者」に見える。しかも「桃缶」だ。あやしさ満載である。おばちゃんはちょっと思案して・・・
「これに入れておきますね。」
と言って、ペラペラのビニール袋に入れてくれたのである。そう、あのスーパーには必ずある、生鮮食品などの「おシル」がたれるものを入れる時の、あの袋にだ。
「あっ、はい。」
といって、不覚にも受け取ってしまった。私も瞬時に、おばちゃんが考えていることがわかった。この連休中、オヤジはひげボウボウである。生える量がすくないので、よけいにこ汚い。想像してくれたまえ。クシャクシャのビニールに桃缶を入れ、そのビニールの口を押さえ、缶詰めを入れた袋である。「万引きした浮浪者」から、「ゴミをあさった浮浪者」になってしまったのである。どう考えても、ゴミの中から怪しいものを拾ってきた浮浪者にしか見えない。さすがに、自分でもヤバイと思った。これならまだ「万引き」のほうがいい(笑)。レジから車まで、誰に出会うとも限らない。ましてや袋を隠そうとすればするほど、怪しくなる。自分でもわかる。コソコソしてる浮浪者だ。走るのもヤバイ。走ったらまず間違いなく、屈強な警備員が出てくるだろう。あわれ「犯罪者」に間違われるのだ。この際・・・どうどうとしてるしかない。なにごとも無かったように振舞うしかない。しかしオヤジは、小心者である。絶対、顔に出てると思う。この状態で袋の中が、桃缶だとは知られたくない。私は、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ早足で、駐車場に向かった。ほんのちょっとである。小心者には、限界のスピードでだ。
無事に、誰にも見咎められず車に滑り込んだ私は、静かに煙草に火を付けた。
実にスリリングな旅だった。人生、山あり谷ありである(笑)。
次回「昭和の忘れ物 Part 3」は・・・
「ソントン ピーナッツクリームはキャラメル味?」をお送りします(爆)
私は桃缶2個と缶キリを持って、レジに並んだ。レジ打ちは、ちょっと若めのおばちゃん。私の前には、大学生らしい2人の男性がいた。そこで私は、奇妙なものを目撃することになる。
2人とも、絶対に学生である。見た目がもう学生なのだ。2人とも、スーパーのプラスティックの買い物籠に、そこそこの量の買い物をしている。ふと私が気が付いたのは、その籠の底に何か「布製の物体」が敷かれているのだ。2人共である。もう私の目は、それに釘付け(笑)。
「それは、いったい何?」
あやうく口にだしそうになった。私は「その瞬間」が来るのを、じっと見つめて待っていた。1人目のレジが終わった時、それがなんなのか、やっと判明した。なんと、「マイバック」なのである。「マイバック」を籠の底に敷いているのだ。私は瞬時にそのシステムを理解した。なんらかの形で「マイバック」を持っていると、「万引き」を疑われる可能性がある。どんな状態にしていても、疑がおうと思えば、疑える。時まさに人影まばらな、真夜中のスーパーマーケットである。そういったことも多々あるのだろう。その点この方式なら、「マイバック」を確認してもらえるし、万が一にも万引きを疑われることは無いわけだ。2人ともこのスタイルだということは、これがここの「定番」なのだろう。2人のレジが終了し、マイバックにモノを詰め込むまで、私はシゲシゲと見てしまった。まあ、2人とも比較的普通のカンジ、そんな不良には見えない(笑)。大学生らしい大学生だ。夜中の店には、「そこの掟」があり、それを守っているのだろう。とっても「エコ」である。すばらしい!。すばらしいが・・・気持ち悪い(笑)。いい年こいた男のコが、夜の12時にマイバック持参である。50過ぎの浮浪者のようなこ汚いオヤジは、桃缶と缶キリ(爆)。マイバックなぞ、どこふく風である。袋代金に5円か10円かかるぐらいなら、このまま持って買えるつもりである。なんせ桃缶と缶キリで298円なのだ。300円でおつりがくるのである。ここで5円とられたら、またよけいな小銭が増える。人は私を「小銭大魔王」と呼ぶ(笑)。いつでも不必要な小銭で、ポケットがジャラジャラなのだ。普通小銭を数えると、たいがい1000円を超えている。コンビニで、小銭を細かく払うのが好きではないのだ。東京に遊びに行ってる時などは、いつのまにか2~3千円の小銭でポケットが膨らんでいる。「スイカ」を持たない田舎モンには、小銭が生命線なのである。そのせいで「小銭大魔王」なのである。ついでに「ETC」も無い。一番頻度の高い実家まで帰る時の高速代金は「900円」なのだ。ETC割引など、なんの役にも立たない。
「袋に入れますか?」
「けっこうです。いりません。」
私は自分のポケットに300円入っているのを確認している。298円なら2円のおつりで済むが、ここで袋代を5円とられたら、千円札を出さねばならない。小銭大魔王は、不要な時の小銭を嫌う(笑)。今もらっても、使い道がないのだ。従って、なんとしても袋を阻止しなければならない。しかし・・・
おばちゃんの顔は、困惑している。何か迷っているようだ。そう、そうなのである。私はレジでお金をちゃんと払った。おばちゃんはそれを知っている。しかし、時まさに人影まばらな、真夜中のスーパーマーケットである(シツコイ!笑)。店内には、おばちゃんしか見当たらないのだ。これは、絶対おかしい。おかしいとすれば、どこかで監視カメラを見ているはずである。もしもの時には、屈強な警備員が出てくるのだろう。私の姿かたちは・・・汚い(笑)。一歩間違えれば、浮浪者である。確かにお金を払って精算してはいるが、なにも知らずに監視カメラを見ていたら、どう考えても「万引きした浮浪者」に見える。しかも「桃缶」だ。あやしさ満載である。おばちゃんはちょっと思案して・・・
「これに入れておきますね。」
と言って、ペラペラのビニール袋に入れてくれたのである。そう、あのスーパーには必ずある、生鮮食品などの「おシル」がたれるものを入れる時の、あの袋にだ。
「あっ、はい。」
といって、不覚にも受け取ってしまった。私も瞬時に、おばちゃんが考えていることがわかった。この連休中、オヤジはひげボウボウである。生える量がすくないので、よけいにこ汚い。想像してくれたまえ。クシャクシャのビニールに桃缶を入れ、そのビニールの口を押さえ、缶詰めを入れた袋である。「万引きした浮浪者」から、「ゴミをあさった浮浪者」になってしまったのである。どう考えても、ゴミの中から怪しいものを拾ってきた浮浪者にしか見えない。さすがに、自分でもヤバイと思った。これならまだ「万引き」のほうがいい(笑)。レジから車まで、誰に出会うとも限らない。ましてや袋を隠そうとすればするほど、怪しくなる。自分でもわかる。コソコソしてる浮浪者だ。走るのもヤバイ。走ったらまず間違いなく、屈強な警備員が出てくるだろう。あわれ「犯罪者」に間違われるのだ。この際・・・どうどうとしてるしかない。なにごとも無かったように振舞うしかない。しかしオヤジは、小心者である。絶対、顔に出てると思う。この状態で袋の中が、桃缶だとは知られたくない。私は、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ早足で、駐車場に向かった。ほんのちょっとである。小心者には、限界のスピードでだ。
無事に、誰にも見咎められず車に滑り込んだ私は、静かに煙草に火を付けた。
実にスリリングな旅だった。人生、山あり谷ありである(笑)。
次回「昭和の忘れ物 Part 3」は・・・
「ソントン ピーナッツクリームはキャラメル味?」をお送りします(爆)